道端の雪だるま

私が覚えている一番古い記憶は、雪だ。

父親の転勤に伴い、私たちは3階建てのマンションに引っ越しをすることになった。

行きの新幹線のことは何一つ思い出せないけれど、マンションに到着した瞬間は鮮明に思い出せる。

     

 

 

新しい青いマンションは、当時の私にはとても大きく見えた。

上からは、はらり、はらりと舞う雪。

マンションの駐車場で遊ぶ同い年ぐらいの子たちの高い声。

 

 

気づいた時には、母に背中を押され子供たちの輪に入って雪遊びを楽しんでいた。

幼稚園に入る直前に引っ越しをしてきたのだけれど、今でもこんなにも覚えているというのはその引っ越しがあまりにも衝撃だったからだろう。

それまでも父の転勤で引っ越しはしていたが、雪と子供たちのおかげでインパクトが大きかった。

 

雪が冷たくて、霜焼けをしないように手袋をさせられていた。

溶けた雪が手袋に染み込んできて、手からじんじん寒さが伝わってきた。

遊んでいた子たちと一緒に手袋を捨てて、小さな雪だるまを作っては笑い転げていた。

 

 

大人たちは雪が降っていても、休校かどうかや電車が止まっていないかしか気にならなくなってはいないだろうか。

私たち家族は雪が降るたび引っ越しの日を思い出す。

 

雪が降り積もった翌日に散歩してみると、道のあちこちに子供が作った雪だるまを発見できる。今年の冬は大人も雪を楽しんでみてほしい。