余白の先
趣味はなんですか?と聞かれると本当に困ってしまう。
というのも、趣味がなくて答えられないという訳ではない。
趣味がありすぎて一つを挙げられないからだ。
一番長く続いている趣味は「読書」かな。
幼稚園でも外で遊ぶより、室内で絵本を読んでいたように思う。
なにがきっかけで本が好きになったのか分からない。
ただずっと本を読んできた。
小学校では友達と本を貸し借りしながら、読むスピードを競ったり、小説の続編を書いてみたりした。
特に私が大好きだったのは、この本だ。
辻村深月さんの「子供たちは夜と遊ぶ」。
小学4年生の時に出会った本だけれど、今でも私が最も好きな本である。
小説は文字だけで描かれる物語だ。
文字だけ故に、敬遠してしまう人もいるかもしれない。
でも、文字に込められた世界観は無限の広がりがあるのではないかと思う。
映画やドラマは世界観が作りこまれていて、想像できる余白が少ない。
(もちろん映画やドラマは、その分よりリアルに想像することができる。)
『想像の余白』が大きければ大きいほど、作品はそれぞれにとってかなり違うものになるだろう。
余白から想像を膨らませることが苦手な人には、小説はつまらなく感じるかもしれない。しかし、それが容易になったならば、自分だけの世界観・キャスティング・演出ができる。
短編集を読んだり、挿絵が多い本をまずは手に取っていただきたい。
文字の奥にある世界は、とても広いです。
いつか辻村深月さんの作品も手に取ってもらいたい。